Last Sound
「キミは誰にそんな口を利いているんだね?」
お前だよ、と言いそうになって慌てて飲み込んだ。
さすがにこれはマズイだろうと、脳が判断してくれた。
まだ完全にはリミッターは壊れていないらしい。
「校長に、ですよ。」
他に誰がいんだよ、と小声で付け足す。
でも耳の遠い校長には聞こえていなかったようだ。
「相手が誰か分かっていてもなお、そんな態度をとるのかね?」
ああ、とるさ。
当たり前だろ。
なんせ、俺は校長にムカついてんだ。
「校長、さっきの言葉で1つ、訂正してもいいでしょうか」
隣の楽が口を開いた。
お、俺の代わりに言ってくれるのか。
「先ほど校長は
この学校に通っているキミたちに心配などされたくない。
私はちゃんとやっている。
そう、おっしゃいましたよね?」
楽の目は鋭く、俺も少しビビる。
「ああ、言ったよ」
「ふざけんじゃねーよ。
なんだ、その身勝手な言葉は。」
あ…思わず、俺は笑いそうになった。
俺よりヒドイ壊れ方してるよ、楽。
扉の近くにいたエトーの溜め息が聞こえた気がした。