Last Sound
「エトー…」
顔を上げたエトーはいつもの顔じゃなくて。
心の底から俺たちのことを心配してくれているのが感じられて。
「悪かった」
そんな顔されたら、謝るしかないだろ。
「よし、俺の気持ちが分かってくれたならそれで十分だ」
エトーは安心したように微笑む。
「で、どうする?
直談判はお前らが校長にケンカを売ったことで失敗に終わった」
「こっちが売ったんじゃなくて、校長から売ってきたんだっつーの」
澪が後ろでボソッと呟く。
「あ?澪、なんか言ったか?」
「何にも言ってませーん」
口元を押さえて笑いをかみ殺す。
まったく、澪もよく言うよ。
「もう俺には何の方法も思い浮かばない。
と、いうか今日の出来事によって軽音部創設への道は正直、遠のいたと思う」
「それは俺も思ったね」
涼しい顔した楽が言う。
お前が最もヤバかった、って自覚を持てよ?楽。
「さて、どうする。
お前らは今、八方ふさがりなワケだ。
この迷路、どう抜け出すんだ?」
挑戦的なエトー。
そうだな…
この迷路、どう抜け出すか…か。
「うん、とりあえず今日頑張ったから、一時休戦、ってことで行こうか」