Last Sound
次の日。
「なあ、波瑠斗」
教室に着いた俺に声をかけたのは拓馬だ。
「ん?なんだよ?」
「俺、昨日聞いちゃったんだけど」
「何を?」
ぐっと俺に顔を近づけた拓馬が言う。
「エトー、校長に怒鳴られてた」
「え…?」
ドクンと大きく鼓動が波打った。
「どういうつもりだ、って。
監督不行き届きなんじゃないか、って。
あんなに私を侮辱した生徒は初めてだ、って校長のすごい剣幕ったらありゃしねーの。
部活終わって、鍵返しにたまたま校長室の横通ったら、校長めっちゃ怒ってるから俺、すげぇ、驚いてさ。
声しか聞こえないから怒られてる相手、分かんなかったけど校長、はっきり言ったんだよ、工藤先生、って。
…え?おい?波瑠斗?
大丈夫か?顔、真っ青だぞ?」
…拓馬、全然大丈夫じゃねーよ。
だって…エトーが怒られたのって俺らのせいじゃないか。
「それと、前にもあったんだよ。
エトーが職員室で他の先生から怒られてたこと」
なんだよ、それ。
また俺らのせいか?
俺が話を促す前にペラペラと拓馬は続きを話し出した。