キラキラしたあなたへ

体育祭




5月の終わり。
私は、手にメモ帳を手に必死で先生が言った事を記入していく。

セミの鳴き声が、うるさくなったり聞こえなくなったり。
5月なのに、なぜセミがなくのだろう。
私は、不思議でたまらない。

杏奈に聞いたって、亜未に聞いたって、わからない。
亜未は、私の親友に近い存在になっていた。
杏奈とは、下じきをパタパタさせながら、“暑い”と、ダラダラはなす毎日。
そんな、毎日が楽しくて仕方ない。



「これで、専門委員会を終わります。」


「ありがとうございました。」


専門委員会ってのは、各専門が集まって月に1度開かれる。
ただ、体育専門委員は違う。
中学校に入って初めての体育祭。
しかも、中学校の体育祭は甘くない。
怖い、体育科の先生が体育専門委員会の担当の先生だって事、忘れちゃいけない。

なぜなら、中学校の体育の授業は、遊びみたいな小学校の体育の授業とは格別にちがうから。

体操服の上のシャツはズボンの中。
ダサいなあっておもっても、必ず入れないとダメ。
縦の列、横の列をしっかり合わせて、指先を意識する、更新。
毎日、毎日、厳しい事を言われ、怒られ、体育の授業にだんだんみんなは馴染めていた。

だけど、どうしても馴染めないのは、体育専門委員という仕事。
みんなに指示を出し、喉を痛める位の声を出す。出さなかったら、怒鳴られる。
でも、今は、怒鳴られるとかどうとかの話じゃない。

体育祭を成功させるために、体育専門は、必死なのだから。






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