シャーペンと君とあたし
『Absence makes the heart grow fonder.』
口を開いた百合から、流暢な英語が流れる。
まるで、ネイティブスピーカー。
それよりも。内容─…
「私と、拓也くんもそうだった。」
──…“ 遠くにいれば、愛しさが増す。”
「ねっ?拓也くん。」
恥ずかしそーに拓也に微笑みかける百合の顔は、ほんのり色付いていて
「百合、直球すぎ…」
腕で顔を覆う拓也の頬も、薄紅色に染まっていた。
隠したって意味ねーのに。
お前ら、見せつけてんじゃねーよ
…て言ってやりてぇけど、んなん言ったら、また拓也が気にするからな。
瞳の端に、すっかり春気分の2人を追いやった。