モザイク
「このまま歩いて病院に帰れるか・・・?」
冷静に考えても、今神宮寺がいる場所と病院は歩いて帰れるとは思えない。ましてや、神宮寺は革靴だ。歩くのには全く適していない。
「もしかしたらって事もあるしな・・・。一応、駅を目指してみるか・・・。」
これは大きな間違いだった。
「さて、ここから一番近い駅は・・・。」
おもむろに携帯を取り出し、勢いよく開いた。
GPSを見ると、一番近い駅は徒歩で十分くらいだ。これなら余裕だ。電車が動かないとしたら、病院まで歩くしかない。一縷の望みにかけてみた。
「次の交差点を右です。」
目の前に見える交差点を、携帯に言われるがまま曲がった。そこにあった景色は普通の景色だ。人の姿こそ、ほとんど見えないものの、それ以外はなんら日常の景色と変わらない。いつもと変わらない景色に、神宮寺は安堵した。
「やっぱ、この景色がいいな・・・。」
無機質なモザイクな景色と今を比べた。
「このまましばらく直進です。」
商店街の中を抜ける。そこには色とりどりの看板や様々に装飾されたショーウィンドウが見えた。それを見ると、形ある景色がこんなにも良いものだと改めて感じた。
神宮寺はひたすら前を見ていた。前と携帯、その二つを見比べ歩き続けた。携帯の中にある地図は、まだしばらく直進だった。わずかな時間だが、見慣れない街の景色を楽しんだ。角に鯛焼き屋が見えてきた。すると携帯が話し始めた。
「まもなく交差点を左です。」
駅が見えた。ただ、イヤな雰囲気だ。
「やはり動いていないか・・・。」
人の気配はない。駅員を探したが、それらしい人物はいない。必ず駅員がいるはずの改札の横にある駅員室。そこも覗いたが同じだ。
そこに置いてあったテレビが点いたままだ。そしてモザイクとなっている街の様子を伝えていた。
冷静に考えても、今神宮寺がいる場所と病院は歩いて帰れるとは思えない。ましてや、神宮寺は革靴だ。歩くのには全く適していない。
「もしかしたらって事もあるしな・・・。一応、駅を目指してみるか・・・。」
これは大きな間違いだった。
「さて、ここから一番近い駅は・・・。」
おもむろに携帯を取り出し、勢いよく開いた。
GPSを見ると、一番近い駅は徒歩で十分くらいだ。これなら余裕だ。電車が動かないとしたら、病院まで歩くしかない。一縷の望みにかけてみた。
「次の交差点を右です。」
目の前に見える交差点を、携帯に言われるがまま曲がった。そこにあった景色は普通の景色だ。人の姿こそ、ほとんど見えないものの、それ以外はなんら日常の景色と変わらない。いつもと変わらない景色に、神宮寺は安堵した。
「やっぱ、この景色がいいな・・・。」
無機質なモザイクな景色と今を比べた。
「このまましばらく直進です。」
商店街の中を抜ける。そこには色とりどりの看板や様々に装飾されたショーウィンドウが見えた。それを見ると、形ある景色がこんなにも良いものだと改めて感じた。
神宮寺はひたすら前を見ていた。前と携帯、その二つを見比べ歩き続けた。携帯の中にある地図は、まだしばらく直進だった。わずかな時間だが、見慣れない街の景色を楽しんだ。角に鯛焼き屋が見えてきた。すると携帯が話し始めた。
「まもなく交差点を左です。」
駅が見えた。ただ、イヤな雰囲気だ。
「やはり動いていないか・・・。」
人の気配はない。駅員を探したが、それらしい人物はいない。必ず駅員がいるはずの改札の横にある駅員室。そこも覗いたが同じだ。
そこに置いてあったテレビが点いたままだ。そしてモザイクとなっている街の様子を伝えていた。