モザイク
「それで十分だろ?どうせ、修理に出すんだから・・・。それに直接テープをレンズに貼ったらノリが残るから真空パックにしたとか、そう言う細かい気配りを褒めて欲しいもんだな。」
なるほどと思った。もし神宮寺が自分でこのメガネを修理したなら、レンズを直接テープで固定していた。そうしていたなら、確かにレンズはとんでもない事になってしまう。
「はいはい、俺が悪かったよ。」
神宮寺は詫びた。
「あっ・・・。」
脳裏に浮かんだ記憶に感謝した。
「そうだよ、あの時丹沢がやった方法、あれを真似すればいいじゃないか。」
神宮寺はポケットを探った。さすがにセロテープは車に積んでいない。その代わりになるものを探し始めた。
「何か、何かないか?」
上着のポケット、内ポケット、ズボンのポケット、ありとあらゆるところを探した。なかなか代わりになるようなものは出てこない。出てくるのは綿埃やらガムの包み紙やら、どうでもいいものばかりだ。
「なんか出てこいよ。」
綿埃を投げ捨てた。その時、忘れていたものに目がいった。
「あ、バッグの中にはないか?」
意味もなく大きいバッグを車に置いてある。その中は持ち主である神宮寺ですら思い出せないものが、これでもかと言うくらいに詰まっている。ただ、このバッグに入っているものを使った記憶がない。だから、完全に忘れていた。
「うわっ。」
バッグを開けると、鼻をつく臭いが襲いかかってきた。
「なんだ、この臭い?」
臭いの主はすぐに判明した。靴下だ。夜勤の時に履いていた靴下。それがなぜかしまわれていた。
「なんで、こんなところに?」
人差し指と親指でつまみ出した。
「他にないか?」
中に入っているものを動かす度に、靴下の臭いが神宮寺を襲う。実に不快だ。右手で鼻をつまみながら、左手だけで探す事にした。
折りたたみ傘、使い捨てカイロ、冷却ジェル、靴下の臭いがバッチリついた飴、どれも役立ちそうなものはない。特に飴だけは決して食べたくない、そう思った。
「ったく、役に立つものがありゃしない。」
そう言いながらも鞄を探り続けた。鞄の中に小さなポケットがあった。もちろん、その中も探す。するとそこに絆創膏が何枚か入っていた。
「これも使えないな。」
神宮寺は絆創膏を捨てようとした。しかし、途中でその手を止めた。
なるほどと思った。もし神宮寺が自分でこのメガネを修理したなら、レンズを直接テープで固定していた。そうしていたなら、確かにレンズはとんでもない事になってしまう。
「はいはい、俺が悪かったよ。」
神宮寺は詫びた。
「あっ・・・。」
脳裏に浮かんだ記憶に感謝した。
「そうだよ、あの時丹沢がやった方法、あれを真似すればいいじゃないか。」
神宮寺はポケットを探った。さすがにセロテープは車に積んでいない。その代わりになるものを探し始めた。
「何か、何かないか?」
上着のポケット、内ポケット、ズボンのポケット、ありとあらゆるところを探した。なかなか代わりになるようなものは出てこない。出てくるのは綿埃やらガムの包み紙やら、どうでもいいものばかりだ。
「なんか出てこいよ。」
綿埃を投げ捨てた。その時、忘れていたものに目がいった。
「あ、バッグの中にはないか?」
意味もなく大きいバッグを車に置いてある。その中は持ち主である神宮寺ですら思い出せないものが、これでもかと言うくらいに詰まっている。ただ、このバッグに入っているものを使った記憶がない。だから、完全に忘れていた。
「うわっ。」
バッグを開けると、鼻をつく臭いが襲いかかってきた。
「なんだ、この臭い?」
臭いの主はすぐに判明した。靴下だ。夜勤の時に履いていた靴下。それがなぜかしまわれていた。
「なんで、こんなところに?」
人差し指と親指でつまみ出した。
「他にないか?」
中に入っているものを動かす度に、靴下の臭いが神宮寺を襲う。実に不快だ。右手で鼻をつまみながら、左手だけで探す事にした。
折りたたみ傘、使い捨てカイロ、冷却ジェル、靴下の臭いがバッチリついた飴、どれも役立ちそうなものはない。特に飴だけは決して食べたくない、そう思った。
「ったく、役に立つものがありゃしない。」
そう言いながらも鞄を探り続けた。鞄の中に小さなポケットがあった。もちろん、その中も探す。するとそこに絆創膏が何枚か入っていた。
「これも使えないな。」
神宮寺は絆創膏を捨てようとした。しかし、途中でその手を止めた。