好きだと言いたい
家まで送ると言った俺に「駅まででいいよ」と言い張る彩花さんを仕方なく駅まで送り届け、俺も自分の家に帰った。
ただいまも言わずフラフラと自分の部屋に入り、ベッドに倒れ込むように寝転んだ。
仰向けになり額に腕を乗せ目を瞑った。
「いってぇ…」
胸の辺りがジクジクと痛みを訴える。
『弘樹は弟って感じで…だから弟を取られたみたいで…─』
彩花さんの言葉がこびりついて離れない。
何度も何度も俺の胸を刺すように痛めつけてくる。
「…んだよ、これ」
気付けば耳の辺りに温かい何かが流れ込んできていた。
「だっせぇ…泣いてんじゃねぇよ…くそっ…」