好きだと言いたい
「彩花なにやってんだよ?」
兄貴が呆れた顔でリビングに入って来た。
「あ、修君!聞いてよ!私の好きなバンドのファンに初めて会ったの♪」
「あ〜あの訳分かんないバンド?弘樹お前も好きなの?」
兄貴が俺に振った言葉に彼女がすかさず反応する。
「訳分かんなくないし!てか弘樹君って言うんだ!?それと〜‥修君の弟さん?いくつ?」
「あぁ、弟の弘樹で高2。てか彩花帰るんだろ?送ってく」
「あ!そだった!また話そ〜ね弘樹君♪じゃバイバ〜イ」
そう言ってまた花が咲いたような笑顔で彼女は帰って行った。
綺麗だけど気取ってなく、よく喋る。
俺と同じバンドのファンで、花のように可憐に笑う人。
それが彼女との初めての出会いだった。