フラワー
試験が終われば夏休み。

いくら難関私立だって言われてるこの大学の学生だってみんなどこか浮かれてる。


初めて過ごす東京の夏は朝からとても暑いことを知った。


いや、一日中暑い。


学内のカフェでクラスメイトの尚美を待っていると調子のいい男の子の声がした。


『管野さん♪』


『管野さん?』


始め誰かが自分じゃない他の『管野さん』を呼んでいるのかと思った。


背の高い知らない男の子。


目があって、彼は満面の笑みで近づいてくる。



『いっかな?』


私が返事する間もなく、私の正面の椅子に座る。


ナンパ?それなら悪くないルックスだ。
今どきだけど、軽そうでもないお洒落な雰囲気。


モテそう。



私は次の瞬間、彼の言葉に凍りつくことになる。




『クラブティアラの栞さんについて聞きたいんだけど』



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