泣いて、キスして。
「……なんで、」
「あいつがわざわざ俺に自慢してきたからね、ねぇ、里央? 俺が気が付きさえしなければ、それで良いと思ってた?」
それで済むとでも思ってた?
弁明しようとした声は喉元で立ち消えて。
あたしは数時間前の出来事を思い出す。
浮気じゃない。でも、不可抗力でもきっと無かった。
あたしには二つ年下の幼馴染がいた。と言ってもこの男も幼馴染なのだけれど。
ずっとずっと3人で一緒にいるのだと思ってた。
小さい頃は何も感じなかったたった二つの年の差は、学生にとっては次第に大きくなり出した。
遊ぶ仲間も変わって、あたしと恭平は付き合いだして、いつしか海はあたしたちを避け出した。