泣いて、キスして。
嬉しかった。
海が、あたしの可愛い海が、あたしをまた好きだって言ってくれた。
海の可愛い顔が近づいてくるのを、良く分からないままあたしは眺めてて。
海の顔が、辛そうな恭平の顔に変わった。
恭平の男の人にしては繊細な指先があたしの肌を触る。
たまらなくなってあたしは手を伸ばして、恭平の首に抱きついた。
近づいてきた頭を抱きすくめる。
「―――恭平!」
「珍しいね、里央が俺の名前呼ぶの」
そんなに後ろめたかった?
恭平の声が泣きそうに響くのは、あたしの勝手な願望かもしれない。