泣いて、キスして。
ずっと、ずっとどこかで信じきれていなかった。
なんでこの綺麗な男があたしなんかを好きだって言うのか。
あたしは素直でもなんでもないし、可愛い態度も取れないし。別に胸だってそんなに大きなわけじゃない。
なのになんであたしなんかを可愛いって恭平は言うんだろうって。
なんであたしなんかを愛してるって言うんだろうって。
『――駄目!』
唇に触れる寸前、あたしは掌でそれを防いだ。
反射的に瞑った瞳を開ければ、可愛い海の不満そうな顔が目の前だった。