妖士(ようし)
「―――っっ!!」

不意に身を切るような悪寒を感じた麗貴妃は眠りから覚め、飛び起きた。

「麗貴妃様?どうしたのですか?」

異変に気付いた織り姫が姿を現し麗貴妃に近付いた。

「た、戦いが・・・始まったわ・・・」

織り姫は驚いて、目を閉じ仲間の気配を探った。

確かに三人の仲間達は戦っているようだった。

「疾風様・・・」

麗貴妃は悲しげに顔を歪め、夫の身を案じた。

「・・・水晶の宮に、神殿に行くわ。」

打掛を羽織って立ち上がった麗貴妃は急いで神殿に足を運んだ。

重々しい扉を開くと、そこには義母・陽妃の姿があった。

「義母上様・・・?」

目を見張って名を呼ぶと陽妃は閉じていた瞳を開いた。

「あぁ・・・麗貴妃殿も来たのね。」

陽妃の横に腰を下ろすと彼女は自嘲気味に呟いた。

「私を愛してもいない夫の身を案じて神に祈るなんて・・・愚かだと思うでしょう・・・?」

麗貴妃が陽妃の顔を覗くと、彼女は笑っていた。

「あの人は私を愛してくれたことなんてないのよ・・・ただの一度もね。」

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