妖士(ようし)
「父上!!!!」

障子を勢いよく開けて息を切らして叫びこんできた息子を見て政行は驚いた。

「疾風。どうしたそんなに慌てて?」

「だ・・・。だってお呼びが。」

政行はしばらく考え込んでいたがあぁと頷いた。

「すっかり忘れていた。織り姫との話に夢中になってね。」

脱力した疾風は、ぽとりと竜を落とすとのろのろ座った。

「おい!!疾風!!」

背中をしたたかぶつけた竜の抗議を無視して疾風は口を開いた。
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