妖士(ようし)
「姫・・・お気をつけて・・・。

「大丈夫よ。長い間封じこめられた我が配下の怨みの力、返って私に力を与えてくれる。」


うっそうと笑んだ女は洞窟の奥に眼をやった。

どろどろした気が渦巻いている。

「可哀相に、こんな所にいたの・・・?九尾(きゅうび)よ。」

彼女が名を呼んだとたん洞窟の中から地響きがしてきた。

「姫・・・姫よ・・・。」

低い轟くような声。

女は嬉しそうに笑うと手を祠にかざした。

「破っ!!」

一声と共に気が放たれ、 祠を守っていた結界を壊した。

ぐわりと音が聞こえて中から巨大な影が出てきた。

「九尾よ。我が一族を滅ぼした朝廷に復讐を。」

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