妖士(ようし)
意味が分からない。

「あれ?言われてない?初姫は疾風の奥さんだからこの国の巫女さんなのよ?」

巫女・・・。


「知らなかった・・・。私が巫女・・・?」


「祈りの捧げ方はまた今度ね。案内はこれくらいかしら、翡翠の宮には行くことは無いと思うよ。」

「そうありがとう幸。」

幸は不思議そうに首を傾げた。

「初姫は変わってるね。」
「え・・・」

「名前で呼んでくれなんて言うし、礼も言うし。」

「それがおかしいの?」

当たり前の事でしょう?

「前の宮様は酷かったの。葵姫(あおい)って人だったんだけど、疾風の事好きだったみたいで」

結婚もしてないのに北の方なんて呼ばせるし、威張り散らすし。



好きだった?
疾風様を葵の上は愛していた?

幸の言葉は途中から耳に入らなくなった。

葵の上・・・。
あんな美しい方に思われて嫌がる殿方はいないわ。
疾風様・・・貴方様は葵の上のことを愛していたのですか?

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