妖士(ようし)
「葵の上から教わるの?」

嫌・・・
あの方は私を憎んでいらっしゃるわ・・・
家にいたころから・・・
ずっと・・・

ましてや疾風様を愛していらっしやったなら、宮の地位を奪った私を・・・
どう思ってらっしゃるか?

「私の従姉姫なの・・・。」

織り姫は驚いたようだったが首を振った。

「それが決まりです。たった一回お会いするだけですわ。」

一度だけ・・・?

「そうね・・・」
疾風様のお側にいるためなら・・・

「分かったわ。」
ここにしか私の居場所は無いのよ・・・


織り姫は頷いた。
「もうそろそろ疾風様がお帰りになられる時間です。お支度をされては・・・?」

もうそんな時間!?

「夕の御着物に着替えなければ。」

朝、昼、夕、夜、

それぞれの時間に着替えなければいけない。



慌ただしく着替えた初姫は大きな玄関(?)に連れていかれた。



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