妖士(ようし)
いきなり言われて困惑する
「で・・・でも私、斎宮様にはお会いしたく・・・」

ないわと続けようとして不意に思った。

我が儘な女と思われはしないかしら。
前の宮に会うくらいで、と
「どうした?」

疾風が優しく聞いた。

「いえ・・・何でもないわ。明日が楽しみですわ。」

疾風は、平静を装う妻の姿をどこかおかしいと感じたがそれ以上何も言わず眠りについた。



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