【完】甘い恋愛授業
≫居残り授業です。
―――ガラッ!
何も考えずに走って、何も考えずに科学室の扉を開けた。
「……はっ、はっ」
息が荒い。
私はうつろな目で、科学室の中を見渡す。
歩くんは……
「―――遅いんだよ」
イラついてるような、嬉しそうな声が、科学室の中に響いた。
「戻ってくるなら、もっと早く戻ってこいよ。それが正解」
「ゆきはちょっと、遅すぎたかな」と言って、歩くんは腕と足を組んで私を見つめる。
その姿はまさに……王子様。