【完】甘い恋愛授業
私がそう頷くと、歩くんは私を抱きしめたまま「はぁ〜」とため息をついた。
へ? なに??
「歩……くん??」
「ゆきは長瀬が好きなんだろ?なら、俺から嫌われたって別に…」
「よくないよ!」
そう言った私の声が、科学室に響いていく。
よくない。良いわけない。
「歩くんは私のために、恋愛のこと教えてくれてるのに……その優しさを踏みにじるようなこと、したくない」
「………」
「優しさ…ねぇ?」と歩くんは呟いて、私の首もとに鼻先をスリ寄せた。
「ひゃ…っ」
「まあ、昨日ゆきが休んだことは許されないことだけど、そんぐらいで怒らないし嫌いになんないから」
そう言って、私の体に回している腕にキュッと力を入れる。
わわわっ、歩くんの体密着してるんですけどぉぉ!!?
「……あうっ、えーと。じゃあ、怒ってないの?」
「怒ってるって言うか、不機嫌かな」
「不機嫌??」