【完】甘い恋愛授業



私がそう頷くと、歩くんは私を抱きしめたまま「はぁ〜」とため息をついた。


へ? なに??


「歩……くん??」

「ゆきは長瀬が好きなんだろ?なら、俺から嫌われたって別に…」

「よくないよ!」


そう言った私の声が、科学室に響いていく。

よくない。良いわけない。


「歩くんは私のために、恋愛のこと教えてくれてるのに……その優しさを踏みにじるようなこと、したくない」

「………」


「優しさ…ねぇ?」と歩くんは呟いて、私の首もとに鼻先をスリ寄せた。


「ひゃ…っ」

「まあ、昨日ゆきが休んだことは許されないことだけど、そんぐらいで怒らないし嫌いになんないから」


そう言って、私の体に回している腕にキュッと力を入れる。


わわわっ、歩くんの体密着してるんですけどぉぉ!!?


「……あうっ、えーと。じゃあ、怒ってないの?」

「怒ってるって言うか、不機嫌かな」

「不機嫌??」



< 127 / 454 >

この作品をシェア

pagetop