【完】甘い恋愛授業
「いや、王子様があんたのこと呼んでるよ!」
「王子…様?」
“王子様”という言葉に、ビクッと肩が揺れる。
王子様と言ったら、もう一人しかいないだろう……。
「……あ」
教室の扉の方を見ると、そこには歩くんが壁に背中をあずけて私を見つめていた。
そして片手をあげて、“ちょっと来て”と合図をおくる。
「……歩くん」
私の教室までわざわざ来るなんて、いったい何だろ?
「あ、じゃあ紗希ちゃん。私いくから、また明日ね」
「えっ、あ、うん。また明日」