【完】甘い恋愛授業
「覚えてて…くれたの?」
「やっぱりあの時の!もちろん覚えてるよ!そっかそっか、こんな偶然もあるんだねぇ…」
長瀬くんはどこか感心した様子で、うんうんと顔を縦に振っている。
そして一時した後、私に「ありがとう」と言ってハンカチを返して、そのまま科学室を出て行った……。
「へぇ、ハンカチの話しは本当だったんだ」
感心しているのか呆れているのか分からない声で、時東くんはそう呟く。
「……時東くん」
「なに?」
「私が長瀬くんを好きなのは、顔なんかじゃないよ」
今度は、ハッキリ言える。
「私が長瀬くんを好きになった理由は、あの優しさと誠実さと…あのあったかい笑顔だよ」
心があったかくなるあの笑顔。
私は最初、あの笑顔に心を引かれたから……。