ハーフの恋事情

お昼休みが終わる５分前、あたしはようやく教室に戻る。
すぐに親友の雛子と桜子がやってくる。
「ちょっと、菜摘ったら、あんた、また黙ってお昼出ていったでしょ？」
「そうよ、一言ぐらい言ってよね。あたしたち、いつもお昼一緒に食べてるんだよ」
「あーごめん、ごめん」
あたしは二人に冷や汗をかきながら謝った。
二人はまるで姉妹のように顔立ちが似ている。類は友を呼ぶって本当だなあって思う。
小柄で少しぽっちゃりしていて、可愛くておしゃべり好き。
本当、セキセイインコが二羽いるみたい…なんて当人たちの前で言ったら大目玉食らうけど。
あたしは彼女たちとは全然似てなくて、女にしては背が高く痩せ気味だ。
二人とはタイプが違うので、皆に不思議がられるけど、結構仲良くやっている。
「森一臣、探してたよ」
桜子が言ってくる。
「あっ、一臣？さっき会ったよ。」
すると雛子は羨ましそうに言った。
「森一臣にあんだけ尽くされて、菜摘ったら本当幸せものよねえ。」
「そ、そうか？単にまとわりついてるだけだよ」
「言ってみたいわね、男にまとわりつかれてるって。しかも、森一臣かなりイケメン君だしね。学園内でも人気高いんだよ」
「そうそう、特に後輩に人気あるんだよね」
あたしは少し首を傾げる。
確かに一臣は、身長が１８５ｃｍあって、女としては比較的背の高いあたしより頭一つ高くて、身体も逞しい体つきをしている。決して端麗な顔立ちをしてるわけではないけど、いい男好きの桜子に言わせれば今風のイケメン君らしい。それにかなり喧嘩強いらしくて、入学当初は生意気に一番に幅きかせていた。今はかなり温厚になったけど、やはり一目置かれた存在で一臣の友達もそれなりに喧嘩強そうなガタイの人ばっかだ…。
一臣が仕切るグループは、彼自身温厚になったので決して不良グループではないけれど、かなり発言力の強いのは間違いなく、他の生徒たちも一目置いて恐れつつ付き合ってるみたいだ。