ハーフの恋事情
桜子は、秘密のピンクの手帳を見ながらうっとりしながら言った。彼女は他校問わずに自分が気に入った男子生徒の名前やデータを膨大に書き込んでおり、それを増やすのが趣味という少し変わった所がある。
「森一臣が身長185センチに対して、氷室昴が176センチと少し低いけど、でも成績では抜群に彼のほうが優秀だしね。森一臣ほどオーラがなくても、顔立ちも知的で繊細だし。いいわよね、菜摘は氷室昴にも好かれてるなんて…」
桜子はピンクの手帳を口に押し当てて少し恨みがましい目であたしを見る。
「あ、あのね、氷室君とはただのお友達なんですけど…。それにあたしはこの二人とは入学早々、あの一件で腐れ縁になっただけなのっ」
そう、彼らとはある奇妙な接点で今の関係に成り立っていったのだ。
忘れもしない二年前の春の頃。ちょうど今と同じ時期だったと思う。
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