見せ掛けの君
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『あっれ~?
加持くんじゃない??』
『加持くぅ~ん!!
お隣いいですかぁ~?』
食堂でトレーを持って席に着くと、わらわらと女性社員たちが集まってきた。
「(・・・俺、今そんな気分じゃないんだけどな~。)」
そんなことを思いつつも。
「いいですよ~!!
どぞどぞ~。」
なぁーんて。
猫なで声をあげながら座る女性社員たちの声に、周りの先輩社員たちからは嫉(ねた)ましそうな視線。
俺は自分で言うのは何だが、ルックスはまあまあ良いと思っている。自意識過剰とかではなく。
26年も生きていれば、ソレを理解せざるを得なかった。
ただ。ソレを武器にして生きることも覚えた。
だから、その武器を最大限に生かせる営業部に就職したようなものだ。