ダウト-doubt-
第一章
『もう、終わりにしよう』
今までだって、数えきれないくらい、そう思ってきた。
そのうち何度かは、口にも出した。
そのくせ、毎回、その言葉を取り消した。
結局は、失う事が怖かったんだと思う。
だけど、今度こそ、本気だった。
他に男が出来たとか、そういうわけじゃない。
ただ単に、底が見えたというか、このまま続けていても、埒があかないと、ようやく気付いただけ。
いや。
そんな事には、とっくに気付いていた。
ようやく、認められるようになったというべきか。
とにかく、今度という今度こそは、いつになく本気だった。