ダウト-doubt-

そもそも、始まり方が悪かったのだ。


いわゆるナンパで、出会ったその日にヤっちゃって、しかも、お互い付き合ってる人がいた。

一夜限りで終わらせれば、まだ良かったものを、調子に乗って、あたしたちは、何度も繰り返した。

そのうち、あたしの方は彼氏にバレて、別れる羽目になったけど、あの人は彼女と続いていた。


この辺りから、何かおかしな感じになってきた。


本来なら、連れのいないあたしの方が、身軽で自由なはずだった。

なのに、何故かあたしの方が、不利で不自由な立場になっていた。


要するに、『惚れたもん負け』なのだ。

バカなあたしは、彼女のいるあの人相手に、本気になって、さらに、彼女と別れる気のないあの人相手に、一途だった。

つまり、あの人にとってのあたしは、初めから『遊び』でしかなかったのだ。


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