ダウト-doubt-
あの人には彼女がいて、あたしはフリー。
そんな関係が、一年くらい続いた。
その間にも、あたしは色んな男と関係を持って、だけど、全部続かなかった。
草食系のイケメン。
二つ年下の男の子。
一回り年上の一児の父。
帰国子女のチャラ男。
将来有望な医大生。
高校の時の元カレ。
大手企業の会社員。
その他、数人。
全員が、あの人に劣ってたわけでもない。
むしろ、好条件な男の方が多かった気がする。
なのに、何故だか分からない。
好きになるのは一瞬で、すぐに飽きてしまっていた。
一度目の別れの決意は、そんな時で、何もかもが嫌になっていた頃だった。
「サヨウナラ。彼女とお幸せに。」
嫌味のつもりで告げたはずの言葉が、裏目に出た。
その時すでに、あの人は彼女と別れていたのだ。
だからといって、あたしが『彼女』に昇格する事もなかった。
相変わらずの、グレーな関係のままだった。