ラスト
妊娠が分かった途端に、つわりが始まった。

ご飯を食べるのがツラい…

水分を摂るのがやっと…
出掛けるのもツラい…


正弥さんに隠せる訳がない…


その時、ケータイが鳴った。
彼からだ…

「久しぶり」

彼の声…
涙が溢れてきた

「どうしたの?何かあったのか?」

そう聞かれたが…言って良いのか…

彼が困るかもしれない…
でも黙り続けるのもツライ。

「あのね…」

言葉がつまる。

「どうした?」

彼は優しく聞いてきた。
「あのね…赤ちゃん出来ちゃった…」




「ホントに!?」





その声は、電話からではなく、後ろから…

振り向くと、そこには正弥さんがいた。

まだ、帰ってくる時間じゃないから油断してた…
無意識にケータイを切った。


「マジで、赤ちゃん出来たの?」

正弥さんはとても嬉しそう…

私はうなずく事しか出来なかった。

ズキッと痛む…この胸の痛み…

「早く言ってよ~あぁ~俺もついにパパかぁ~」

「産んでも良いの…?」

そう聞くのがやっとだった…。

「良いに決まってるよ」

正弥さんは嬉しそうにそう答えた。
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