紳士的なLady
真剣モデラート
「剣センパーイ……。また榊先輩が来てますけど……。どうしますか?」
後輩3人ぐらいが私の所へやって来て、恐る恐る聞いてくる。
「榊が?また来たの?」
「はい……」
「そっか。分かった。すぐに行くね」
自分の竹刀を持って、榊が立っている所まで歩いて行く。
どうせ試合かなんかでしょ。
本当は顔も見たくないのだが、後々面倒になる。
面倒事はさっさと片付けるべきだ。
あからさまに嫌そうな顔をしながら、榊の元へ行く。
「満原……」
「何。また何か余計な事でも言いに来たの?」
「………すまん。俺が悪かった」
そう言うと、榊は腰を90度に曲げ、謝った。
「は?」
珍しい事もあるものだ。
あの五月蝿い榊が、私に頭を下げているなんて。
今から大雨でも降るのか。
生憎だが、今日は傘を持って来てない。
「満原?」
「えっ?あ、うん。何?」
「何か言う言葉があるだろう、お前も」
「何を?」
そう言った直後。
「貴様っ!この俺が謝ってるんだぞ!『私の方もごめんね』とか、可愛らしい事を言えないのか!」