オモイビト
眠れない夜に
放課後は、いつものように『TEAR』。
どんなに行きたくなくても、どんなに会いたくなくても、辰に迎えに来られたんじゃ拒否もできない。
そして久しぶりの運転手さんにこんにちは。
「そういえば辰、運転手さんて……」
「あぁ、兄さん」
……え?
まだ兄弟いたの?
「あ、寅(とら)です。名前言ってなかったのかぁ……」
……辰、兎、寅……って?
「十二支……?」
「当たり」
……なんでみんなそんなに関連付けたがるんだろう?
城那さん兄弟も色だったし、チューリップだったし、辰なんて十二支だし、あたしの弟なんて銀河だし、有名なあの曲の歌詞だし。
あ、これ言ってないや。
あたしは昴で、弟は銀河くん。
『地○の星』のAメロの最初。
あたしは風の中、弟は砂の中。