オモイビト


「離婚とか、結婚とか、名前ってそういうのも関係なく、変わらないし自由に決められるでしょ?だから、例えすべてが見えなくなったとしても、失ったとしても、生まれた頃からずっと呼ばれてきた名前は、親や兄弟との繋がり。どこまでも繋がってるって印だと思う」


辰が、これで納得できるのか、あたしにはわからない。

ただ……


「昴ちゃんは、興味深いことをいうねぇ」


お兄さんには気に入ってもらえたみたい。


「繋がってる印、ねぇ……」


一瞬、辰の眉間にしわが寄ったのを、あたしは見逃さなかった。


「そうだね、どんなことがあってもそういう事実は変わらないからね」


……辰は今、印をどう感じてる?

嬉しそうには見えない。

酷く……辛そうに見える……。


そうこうしているうちにTEARに着いた。
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