オモイビト


「母親の心理が知りたかったんじゃねぇ?結果的にどうなったかはすでにわかってっけど、産んだ時どう考えてたかとか、同じ女の昴に聞きたかったんじゃねぇか?」

「それって……」


……良くも悪くも、母親を意識してる……?

もう七年くらい前のことなのに……?


「憎きもあり、愛しくもある。どんなことがあっても昴の言うとおり、『印』が着いて回るし、繋がっていたいと思う気持ちもあるんだろう」


『それが親子って奴だからな』

陽紀は優しい笑みを浮かべてそう続けた。


辰は、探していたのかもしれない。

自分と母親の繋がりを。

親子という証明を、形で。


親がどう思って自分にこの名を授けたのか、その時の心理とか、愛情を知りたかったのかもしれない。


「……そういえば、辰の父親って今どうしてるの?一緒に住んでないんでしょ?」

「あぁ、なんか……会社の社長になって忙しくなって会社に泊まりこんでるんだか会社の近くのマンションに住んでるんだか……」
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