オモイビト
「なんだよ、やきもちか?」
陽紀がからかう。
想のぶすっとした顔……かわいい……。
この前のは幻か?って思うほど可愛い!
「漆には渡さない」
「……え?」
「……想がライバル発言した?漆に?」
「想、漆はちょっと現実的に勝つのは難しいよ?」
「辰、お前さりげにひでぇな」
「せんせんふこくっ!」
……宣戦布告?
「……想」
お、どう出る漆?
「負けないよ」
あたしの手首を握って引っ張ったのは、いつもは静かな麗しの王子・漆。
そんな漆の腕の中に入る日が来るなんて……誰も予想してなかったことでしょう。
……いや、もしかしたら……実は想は分かってたのかも……?