オモイビト

麗しの王子様



二組へ着くと、あたしは動きをピタリと止めた。


まさか、まさか、目の前にいるとは思わなかった。

ドアから教室を覗こうとしたら、いや、すでに覗いてるんだけれども。

すぐ右側に『無口な麗しの王子様』がいた。


王子様を知らない人はこの学年にはいないと思う。

さすがに他の学年のことはわかんないけど、誰もが一瞬で虜になるような人。

いわゆる『イケメン』の類だと思われる。


あたしは驚いて、無言ながらに彼も驚いたのだろう。

あたしたちはちょっぴり見つめ合った。


「あ、昴さん!」


そんな空気をぶち壊……じゃないじゃない。

そんなあたしの目を覚まさせたのは、バカだった。


バカ……改め想だった。

バカ想だった。
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