オモイビト


「……なにしてんの?」

「天秤」

「は?」

「愛の天秤だ」


……理解不能です!!


「なにそれ?」

「今、漆の腕と想の腕、どっちの方が付きそうだ?」


ん〜……どっちも付きそうなんじゃない?


「あ、でも漆の方がちょっと下かも?」


そうあたしが言った瞬間に、漆の腕が勢いよく勝ちに行き、想の腕はそのままあっさり机に付いた。

陽紀がいきなり力を緩めたせいで、陽紀の左手の甲が勢いよく机に当たったけど……痛くなかったんだろうか?


……そして意味不明の謎の行動は幕を閉じた。


「結局、何してたの?」

「だから、愛の天秤だ。俺が」


アンタかい!!


「今のところは漆が勝ってるみたいだな」


そんな陽紀の言葉にほほ笑む王子。

バラが舞っています……。
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