オモイビト
「一番問題なのは、陽紀の利き手じゃない?」
「俺の力加減は両手共にバッチリだ」
「なんで?」
「人をボコる時に殺さない程度――」
「あぁうんわかったとりあえず黙ろうか!!」
そんな理由聞きたくないし!!
そんな未知の世界知らなくていいし!!
「俺の武勇伝知りたくねーのかよ?」
「知りたくないよ!!」
陽紀は今あたしの知ってるただのドS陽紀でいて!!
それ以上はもう求めませんから!!
「陽紀くんの武勇伝って言ったら、やっぱ入りたての頃の――」
「言わなくていいから愛ちゃん!!」
やっぱり君は知ってるのね愛ちゃん!?
こんな感じで、今日もTEARは平凡です。
それでも、こんな平和でも、あたしは時々あの頃を思い出して眠れなくなる。
でも最近は……こんな平和な空間を思い出せるから、苦痛は和らいだの。
……ありがとう……。