オモイビト


「ずっとずっと好きだった」

「……え?」

「小学校の頃、初恋をした。その子はいつも一人ぼっちで、寂しそうな顔をしてた」


……もしかして、あたしが初恋の女の子、って言いたいの?

しかもそれって七年も前の話……。


「中学は別々になっちゃったけど」


覚えてる、さよならしたこと。

あの子と一緒にいるのが耐えられなくなって、あたしは私立の中学に行った。


「三ヶ月前、その子がこの学校にいるって初めて知った」


あたしが、いるってこと……。


「諦めかけてたけど、もう一度チャレンジしたくなった」


……それであの日……多分想は蛍都にハメられたんだ。

あたしの存在を知っていた蛍都。

いつまでも行動に出ようとしなかったであろう想。


……そういえば、小学校の頃のしょーくんは、慣れない敬語を精一杯頑張って使っていたような気がする。
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