オモイビト


あの頃の記憶はまだ曖昧だけど、背伸びしたいんだろうと思って、可愛いって思ってたことを思い出す。


「もう、引き返せない。俺はずっとずっとずっと……昴が好きだから。もう手放したくない」


……ずっとずっとずっと……想って来てくれていた想。

諦めても諦めきれないと言わんばかりに……。


「好き、大好き」

「……想……」


こんな、みんながいるところで衝撃告白しちゃうようなおバカさん……。


「……想、あのね……」

「今まで忘れられなくて、ずっとずっと忘れられなくて、昴以外の誰もここまで好きにはなれなくて、昴じゃないとだめなんだってずっと思って来て、想って来て……」


想の気持ちがあふれ出てる。

この場にあふれ出て、あたしを飲み込もうとしてる。


あたしは……胸が締め付けられる思いで……想を見ることしかできない。
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