オモイビト


あれはそう……小学校の卒業式の日。


あの日、思わず『行かないで』と言いそうになった言葉を飲み込んだ。


あの日から一人になったあたしのそばに、ずっとずっと、一緒にいてくれてたから。

寂しかった心に、唯一入ってきてくれたしょーくん。

もう離れ離れは嫌だと強く思った……。


「しょーくん……」


大好きだった、しょーくん。

本当は、会いたくて会いたくて、たまらなかった。

でも、その心を、自分で閉ざしていた。

あの時、なんでそんなことを思ってしまったのか、その理由にも気付かない振りをして。


本当は、ずっと、そうだったんだ。

あたしも想と同じだったんだ。


本当はずっと、ずっとずっと、君に恋していたんだね。


「……大好き……」
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