オモイビト
「辰のバカ!!」
「……な、なにいきなり……」
「はぁ?昴大丈夫か?」
あたしより城那さんだよ!
「女の子視点から言わせてもらう!城那さん、ただ恋してただけなんじゃないかって思う!ただ漆が好きで、でも素直になれなくて、友達に背中を押してもらって、それでTEARに行ったんだと思う!!」
一気に話したあたしに、最初に言葉を出したのは、想だった。
「……恋?」
「……そうだよ、ただ素直になれなくて、それでも頑張ったんじゃないかと思う。こんな鈍感しかいない五人の男のいる中で、恋なんてしないような五人の中で、城那さんは……」
「ちょっと待って、確証が……」
「アンタたちは乙女心を知らなさすぎなの!紅音ちゃんを送り込んで来たのだって、間接的にでも誤解を解きたかったから」
「だったらさっさと言やいいじゃねーか」
「ただ言っただけじゃ納得しないでしょ!?嘘かと思うでしょ!?信頼してもらってから言おうとしてたとしたら、アンタたちの信頼の証ってなに!?」