オモイビト
だってそうでしょ?
あたしもう、あの空間に溶け込んでるでしょ?
「城那さんも、そんな感覚でTEARに行ったんじゃない?自分の大切な人を、自分を受け入れてくれた人たちと会わせたくて。彼女は友達を大切にする人なんじゃないの?」
ようやく分かってきたみたい。
「あたしたちの恋は想から始まったから、媚びてるようには見えなかったかもしれないけど、城那さんが頑張って漆に少しでも気に入ってもらいたい気持ちが『恋』だと気付かなかった」
「……はぁ、そういうことか……」
「あたしが今その立場だったら、泣くよ。いくら大大大人気の漆のことを好きって思っていても、そこらのメンクイ女たちとは違うことくらい分かってんでしょ?」
「……」
「だって、敬語外れたじゃない。なんで自分たちを信じなかったの?」
「……」
「五人も揃ってるくせに、なんで?誰一人も気付いてあげられなかったの?」