オモイビト


今、あたしはこの五人を責め立てている。

でも、悪いことだとは思わない。


確実に、この五人がバカだと思うから。


「昴さん……」

「漆一人でも、状況は変わったはずでしょう?」

「……」

「漆が『そうじゃない』って一言言ってたら、絶対城那さん喜んで泣いてたね。でも本心は五人に認めてもらいたいんだと思う」

「……」

「今でも」


そう、今でも。

だって、城那さんは諦めていない。

あたしに接触してこようとしてるくらいだから。


「陽紀」

「あ?」

「今すぐ城那観察隊解散さして」

「え!?俺の努力の結晶……」

「クズは黙って聞いてろ!」


今のあたしは、珍しく真剣である。
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