オモイビト
「この方向音痴は、どこまで連れてけば一人で帰れる?」
「とりあえず駅でいいです。道は迷うけど電車は強いから。乗る前後の構内が広くなければ大丈夫ですよ」
どうやら音痴なのは本当に道だけであって、電車は普通に乗れるらしい。
じゃ、電車に置いて行こう。
あたしは想と王子……だめだ、抜けない。
漆。
漆と一緒に帰った。
さらに漆と同じ駅で降りた。
……え?
「漆、家近いの?」
「すぐそこ。徒歩五分」
なんという!!
家と漆の家は一キロも離れていないくらい近かったのだ。
「家は徒歩十分。え、でも、学校一緒だったっけ?」
「俺は引っ越してきました。今イトコの家に住んでます。『TEAR』も辰の家ってわけじゃない。あとの四人はみんな学校付近です」
新事実を知った、今日この頃。