オモイビト


「あたしは別にいいよ」

「え!?」


だってあたしはご褒美さえもらえれば……。

あ、違う違う。

違うんだからね。

ご褒美のためだけに付き合うわけじゃないんだから。

あくまで付き合ってやるって言う優しさなんだから。


「やだやだ!漆はいらない!」

「そんなこと言ってたら昴姉さんに嫌われるぜ~?」

「……やだ」


想がまた可愛い……。


「っつーことで漆、昴を頼んだ」

「え、あたし頼まれちゃうの!?」

「じゃ、昴姉さんと想を頼む!」

「俺、保護者?」

「だから漆はいらない!」


そんな想の言葉に、誰も耳を貸しませんでした。
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