オモイビト
「あたしは変わらない……変わりたくない……」
いい方に変わるなら、それはそれでいいんだと思う。
でも、あたしの場合は……本当に、変わりたくないんだ。
変わること……いい方に変わるのか、悪い方に変わるのか……それは自分自身にもわからない。
なにか行動を起こして、それが悪い方に向かないとは限らない。
変わらないなんてムリなことなんだろうけど、出来るだけ変わりたくない。
友達が変わって行ったとしても、あたしは変わらない。
その場に立ち止まる。
行きたければ行けばいい。
あたしは意地でもかわらないよ……。
「……昴?」
目が覚めたように、ハッとした。
完全にトリップしてた……。
「ごめん陽紀、なに?」
「半年前……お前みたいな奴がいた。立場的に。権限を持ったのは辰だ」