放課後恋愛
「ちょっと!勝手に触らないでよ…。」
バシッと言いたかったのに、なぜか声が小さくなってしまった。
こんなに近距離だから?
でも、昨日…あんなことがあるまでは、距離に関わらずキッパリと大きめの声で九条君に言ってたのに…。
なんで……?
自分の声に戸惑っていると、九条君は指先に私の髪の毛をクルッと絡めた。
「……やめろよ。」
「は…?」
「何事も、そういう先入観を持つのはやめろよ…。」
なぜか、少し低くなった九条君の声が自習室に響いた。
「襲おうとしてる狼が、紗智の目の前にいるかもしれねぇよ?」