放課後恋愛
勉強のひととき
そっ…そうだ、生徒手帳!!
そのために私は九条君が来るのを待っていたのに…。
また忘れそうになるところだった…。
危ない、危ない……。
「九条君、私の生徒手帳…返して。」
ムッとしながら、手を九条君の方に向かって勢いよく差し出す。
「ああ、手帳ね…。」
九条君は制服のポケットから私の生徒手帳を取り出すと、テーブルに寄りかかっていた体を起こして私の前にやってきた。
「昨日返そうと思ったのに、紗智が猛スピードで帰っちゃったから渡せなかったんだよな。」
九条君は私の手のひらに、生徒手帳を静かにのせた。