放課後恋愛
油断大敵
「紗智、ありがとな。おかげで数学の問題…かなり解けたよ。」
九条君は、パタンと問題集を閉じると、座ったまま背伸びをした。
「ど、どういたしまして。大して私は教えたりしてないけど…。」
こもるような声でボソッと呟いた。
なんだか九条君にストレートにお礼を言われると違和感あるなぁ…。
変な感覚…。
「教え方とか、めちゃくちゃ上手いじゃん。紗智の説明だと、しっかり納得しながら問題が解ける。先生よりも教えるのが上手いんじゃねぇの?」
「そ、そんなわけないでしょ!?それは言い過ぎ。」
九条君の言葉を否定するように、私はブンブンと首を横に振った。